日本の経済議論

頑張れ日本!全国行動委員会 群馬県支部設立記念講演会参加記



2012年5月6日前橋市民文化会館大ホールで「頑張れ日本!全国行動委員会群馬県支部設立大会・同設立記念講演会」があった。

この記念講演会に関しては、偶然知るところになり又前橋市民文化会館に行く機会を得て前売り券を購入しておいた。
5月6日、つくば市では竜巻があって散々な日々だったことはテレビやWebで報道されているところ。しかし、前橋は午前中雷雨が降ったくらいなもので、設立大会が始まる午後になったら晴天。
この前橋というのは、良くも悪くも赤城山、榛名山という山に囲まれて多少語弊があるものの風水害がどちらかというと少ない。その一方で冬は赤城颪という厳しい北風があり、夏には時として猛烈な雷雨があり、今ではなくなった利根川の氾濫があった。
いずれにせよ東京と違った内陸気候の厳しさというのは存在する。

第一部・設立大会の開場は、12時半。前橋市民文化会館の行事に書いてあったものの、クチコミぐらいでしか分からなかった大会。
どれだけ人が集まるのかと思って開場の頃に行ってみたら、驚くほどの人が集まっていた。そんな人達の押されて、大ホール入口の風景写真も撮れず開場に入ってしまった。ちょいと見てみたところ、前橋市民文化会館大ホールの収容人数は1,200人なので、さすが満席にはならずだが、それなりの人数は参加していたようだ。

先ずは、君が代斉唱から‥



群馬県支部設立大会は1時間ということなのだが、全国行動委員会・田母神俊雄会長の話しも結構長く、第二部の基調講演ではどうなるのかと思えたほど‥

第二部設立記念講演会は、まず全国行動委員会・田母神俊雄会長(元航空幕僚長)から
題目は「現代---の情報戦」だった様に思えるが、長くて記憶出来ず。
実はメモ書きをしておいたのだが、今手元にないので記憶で要点を少々‥
「信ずるものは欺される-国際社会」
国際社会は「子どもの社会と同じ」、「力の強いものが勝つ」
「軍事力は使わないところに効力があり阻止力、交渉力に意義がある。」
「中国が日本に紛争を起こすのは日本の軍事力が弱いから」
「中ロ国境紛争、印パ国境紛争も互いに核を持った時点で起こらなくなった」

その他多くの情報分析もあったのだが、約40分程度経ったところで時間切れ。



続いて、水島総・頑張れ日本!全国行動委員会幹事長が同じく50分程度、10分の休憩を挟んで経済評論家・作家の三橋貴明氏が16時40分頃まで。


水島総・頑張れ日本!全国行動委員会幹事長


休憩時間中 


経済評論家・作家の三橋貴明氏

「講演タイトルは【日本を衰退させる「経済的自虐史観」からの脱却を!~デフレ、復興、増税、そしてTPP~」(三橋貴明氏のブログより拝借)


最後に、司会進行の葛城奈海(女優・キャスター・予備陸士長)氏のショート講演並びに活動報告で17時で終了。


葛城奈海(女優・キャスター・予備陸士長)氏



最後に、全員で「頑張れ日本」のシュプレヒコールで終了

講演内容は、ある程度YouTubeの無料公開の「チャンネル桜」番組やブログで良く知られたことなので特にメモをすると言うこともなかった。

しかし、その中で従来からの「保守派」と呼ばれて来た、たとえば櫻井よしこ氏などとはTPPや増税議論では立場を異にすると水島氏は言われる。

小生が例を挙げると

TPP、感情論を超えて討議せよ 櫻井よしこ」(公益財団法人・国家基本問題研究所)


平成24年3月1日の櫻井よしこ氏講演会「いま、国難のとき-日本再生への進路」(前橋テルサ)でもTPP参加で中国を押さえろとか、日本の未来展望が開けるとかという話はあった。
しかし、それまでの講演での細かい内容とは違ってTPPや増税に関しては、かなりアバウトな発言であった。




櫻井よしこ 群馬経済同友会 講演会を聞いての一言
http://pub.ne.jp/Indianinkworld/?entry_id=4191837

こういう部分を旧保守派の米国依存志向と言うことを言われていた。
水島氏の言われることは実にもっともで、米国が絡むとそこで思考停止してしまう人達、言論人がいる。

種々納得の講演であったが、講演者が多くて時間がなかった感がある。
そして、観衆というのはみんなあの松岡修造のようなポジティブで熱い人達で「頑張ろう」と言う気にもなる。

しかし、振り返って自分を見ればこのデフレは辛いよなという感はぬぐい去れないものがあった。


増税しないと日本の国債は暴落して国家破産するという嘘

節分を境にして「日本の国債暴落の可能性あり」という報道がなされている。
大前研一氏のメルマガ2012/1/27版の大前研一『ニュースの視点』では『日本国債~明日ではなく今日かもしれない暴落の瞬間』という記事について書いた。
ここで大前氏は「大胆な歳出減と増税で日本国債の暴落を防ぐべき」と言っている。
そしてまた妙なのは、「数年後の国債急落を想定 三菱UFJ銀が危機シナリオ」(朝日新聞Web)では
数年後に価格が急落(金利が急騰)して金利が数%にはね上がり、損を少なくするために短期間に数兆円の国債を売らざるを得なくなることもある、としている。国債の有力な買い手がいよいよ『急落シナリオ』を想定し始めた。」
という報道をわざわざしている。

この結果大前研一氏の言う「大胆な歳出減と増税」という結論に到達するという誘導である。
しかし、「大胆な歳出減」は、GDPを減少させてデフレを加速させ、リストラの強化に繋がり失業者が増える。そして、消費税増税は橋本政権で失敗したように消費を減少させ益々名目GDPを押し下げ同じくデフレを促進する結果となる。
そして、GDPと税収は相関関係にあってGDPが減れば税収は減少する。

即ち増税すれば減収になって又増税しないと税収が得られないというデフレスパイラルを加速することになる。
その良い例がアイルランドであると前のエントリーで上げておいた。
そして、その失敗に懲りてIMFでは調査局長であるオリビエ・ブランシャール氏は、

2011年を振り返って・4つの歴然たる事実・2011年12月21日
オリビエ・ブランシャール

財政再建とは、アンゲラ・メルケル独首相が言うように、『スプリント種目』ではなく『マラソン競技』であるべきだ。債務を適切な水準に戻すまでには優に20年以上かかるだろう。『急がば回れ』という格言はこれにぴったり当てはまる。」と述べている。

同じようにカルロ・コッタレリ財政局長は、「財政調整:過ぎたるは及ばざるがごとし?
2012年1月29日」で
同様なことを述べているのは前回のエントリーで紹介したとおり。
ここで
スタンダード・アンド・プアーズの引用です。『雇用の確保や可処分所得に関する消費者の懸念の高まりに呼応し、内需が落ち込み税収が損なわれるなか、緊縮財政のみを柱とした改革プロセスは、自滅する危険性がある』」」
財政引き締めの結果、成長が十分に低下すると、財政赤字は縮小するなか、金利は実は上昇する可能性があるのです。
こういうふうに、増税は低成長をもたらし財政赤字は縮小する一方で国債は暴落する可能性があると述べている。

以上のように、大前研一氏の分析や財務省の見解とIMFの見解とは全く逆になる。

従って三菱UFJ銀行は、大増税によって景気が減速し失業者が溢れデフレが進行。結果、国民に国債を買う余裕がなくなった時を想定して「急落シナリオ」を想定しているわけである。
だから大前研一氏が主張する「今こそ、資産課税が必要だ」とか相続税の大増税という議論は国民の懐具合を直撃して、国民の預金というセーフティネットを破壊する。

週刊誌「週刊ポスト」では「国債暴落・長期金利上昇・ローン破綻・住宅ローン、やっぱり『固定金利』が“絶対安全”か」と国債暴落について書いてある。

日本は経常収支黒字国で、世界最大の対外純資産国でもある。
「日本は経常収支が黒字ゆえに、国内に『借りられない預金』である過剰貯蓄があふれ、国債は超低金利(世界最低の金利0.99%)で安定的に消化される。」(【増税亡国論】ギリシャと日本“同一視”する愚者たち)

しかし懲りない面々というか財務省はこんな事を言わせている。

国債暴落のきっかけになる出来事はいろいろと考えられる。社会保障と税の一体改革が頓挫して消費税が増税できなかった場合、世界が『日本が財政再建に失敗した』とみれば、いまのポルトガル国債やイタリア国債のように金利が急上昇する可能性がある。

あるいは国債暴落の一つの『指標』とされる経常収支が2016年に赤字に陥るとの予測もあり、それが国債暴落の引き金を弾くのかもしれない。」(日本国債の暴落そう遠くない? メガバンクもしている「備え」・J-cast NEWS)

ここで「財政再建」の定義を改めて見直してみよう。
財政再建とは、IMFが述べているように「政府負債削減ではなく、政府の負債対GDP比率の改善」である。(カルロ・コッタレリ財政局長の記述部分にも述べられている。)
そういうことから考えると「消費税が増税できなかった」から「日本が財政再建に失敗した」という論理は破綻する。
それどころか「ポルトガル国債やイタリア国債」という経常収支赤字国で国内の貯蓄不足で国債が国内で消費できない国。
国債の大半が外国(ドイツ・フランスなど)で保有され、自国通貨発行権が無い国との比較というのは飛躍しすぎる。
これが前回述べた「共通通貨建て(ユーロ)で国債を発行しているEUのフランスなどと、自国通貨建ての日本を混同する間違い」である。

そして「経常収支が2016年に赤字に陥るとの予測もあり、それが国債暴落の引き金を弾くのかもしれない」と言う予測も以前に述べた通り、自国通貨による発行であるから日本銀行に買い取らせることで国債の償還には困らない。
しかも、国債が崩落するくらいなら超円高が円安に振れ輸出企業は大儲けとなって実際はどうなのか分からないと言うのが本当なのである。

合わせて現在は、日本では低金利で過剰貯蓄が溢れている。
国債の金利が上昇すれば、日本円のタンス貯金やら余剰の預金が国債に流れて売り浴びせられた国債はあっと言う間に買い取られるというのは予測しなくても分かる。

従って、本当に日本を経済破綻させるには、大前研一氏の主張するように国民から絞れるだけ搾り取って丸裸にして貧乏にする方法しかない。
国民はデフレ失業し、預金の使い果たし、家屋敷も税によってむしり取られて寝るところさえ苦労するときに確実に経済破綻する。

そして、大前研一氏は1人のうのうと米国で暮らして高笑いというものであろう。



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大前研一氏の「大胆な歳出減と増税、資産課税強化」という経済音痴

大前研一『ニュースの視点』というメルマガがある。
以前に「日本崩壊を助長する大前研一氏には野田政権がよく似合う」と言うエントリーを上げておいた。
ここで「野田新内閣発足~リーダー必須の思考力で国難を乗り越えよう。」という記事を再録してみる。

「▼野田内閣の人事は、それなりに評価できる2011/9/9
今回の閣僚人事の評判はあまり良くないようですが、私はそれほど悪いものとは思っていません。党3役の幹事長に小沢氏に近い輿石氏を、政調会長代行に自民党と対話ができる仙谷氏を任命するなど、小沢氏と対立し自民党からは叩かれまくるばかりだった菅政権に比べると、もう少し落ち着いて仕事を進めることができると思います。」
「あまりにも喧嘩腰の人事を組んでも結局物事は前に進みませんが今回の人事はそれなりに評価できると感じています。」(抜粋)

また野田新首相自身について財務省の操り人形などと揶揄されているようですが、財政改革が必須である今の日本経済の状態を考えれば、適任と言えなくもありません。

この大前研一氏の観点は、今では笑ってしまうようなものである。なぜなら「今回の人事はそれなりに評価できると感じています。」とかは誰も思うまい。
しかも「財務省の操り人形」を否定する大前氏の観点も見込み違いである。

大前研一氏の議論、論点を言うと普通は「大前研一か!」と相手にされないことが多い。
なぜそうなのかというと、野田政権の本質を看破できなかったように大前氏には何かの「フィルター」が掛かっていると言う感じなのである。
大前研一氏と言うのは、外見は東洋人で日本語も話すのだが、中身は非常にリベラルな米国人という感じがする。
だから日本に対する歴史観も所詮リベラルな米国人並であるし、日本の伝統や歴史を守ろうという姿勢は当然無い。
そしてそのフィルターとは何かというと、日本国民を裏切っても日本政府に取り入ろうという商売っ気である。

従って、2012/1/27版の大前研一『ニュースの視点』では妙な事が書いてある。
『日本国債~明日ではなく今日かもしれない暴落の瞬間』
▼日本に余裕はなし。明日は我が身ではなく、今日は我が身だ

内閣府の試算によると、税収の減少などで2015年度の基礎的財政収支の赤字は17兆~18兆円程度になる見通しで、昨年掲げた目標である財政赤字対GDP3.0%どころか、長期的には3.5%ですら守ることは難しいということです。」

------中略-----
日本の財政赤字を解消するための方法として、私は『大胆な歳出減と増税で日本国債の暴落を防ぐべき』だと主張してきました。」
「日本国債の暴落を防ぐために、万一の際には95%の国債を保有している国内金融機関に、日本国債を売り浴びせないように協力を要請するのはどうか? いう意見があります。私はもうこの方法では対処できないと思います。

わずか5%とはいえ、外国人機関投資家が保有している金額は約60兆円になります。これだけの金額が売り浴びせられたら、それだけで日本国債は暴落するでしょう。」
---------------★
日本の長期金利0.99%、その他経常収支黒字国・ドイツ(1.83%)、スウェーデン(1.69%)、基軸通貨国の米国(1.88%)、そしてスイス0.6%
国債の暴落とは、長期金利が高騰すること、アイルランド7.2%、スペインは5.7%、イタリアは6.5%

ここで大前氏がなぜ日本の銀行が持っている自ら日本国債を売り払うのかと言う疑問である。
日本国債は日本円で発行されているから、余程のことがあれば日銀が買い取ればそれで済む話。
そして、現在外国人機関投資家が日本国債の購入を進めている状態であるのになぜ日本国債は暴落すると言うのかと言うことである。

(共通通貨建て(ユーロ)で国債を発行しているEUのフランスなどと、自国通貨建ての日本を混同する間違い)

大前研一氏が経営コンサルタントのくせに経済の基本も知らないというのは次ぎに示されている。
ですから基本的には、日本国債が暴落しないように今から手を打つべきで、それが『大胆な歳出減と増税で日本国債の暴落を防ぐべき』です。日本のプライマリーバランスが均衡するためには40兆円のギャップがあります。これを埋める『決意』が必要です。」

そのためには消費税は最低でも『+8%』で『13%』に上げざるを得ないでしょうし、20兆円規模のコストカットとなると、国家公務員や学校の先生などの数を25%くらいカットする必要が出てくると思います。」

例えば、日本の銀行が日本国債を売り払って、国債金利が上がったと仮定しよう。

そうしたらどう言う事が起きるのかと考えると思わず笑ってしまうことになる。
国民は、即刻銀行から金を下ろして直接高い金利の国債を買うと言う事になる。
(例えば、10年もの国債額面100万円のものが50万円で買えると言うこと。)
なぜなら、銀行に預金しているのは日本国民であって、銀行の資金では無いと言うことである
今まで銀行が買っていた国債を今度は国民が直接買う事にって、金利は上がらない、即ち暴落しない。
他方、取り付け騒ぎになった銀行は破綻するかも知れないことになる。

すると、銀行は国債を売り払うことが出来ない。
大前研一氏の言うことは出鱈目なのだろうね。

「大胆な歳出減と増税」によって経済のダメージを受け、税収が減れば「日本国債の暴落」する可能性があると言うのは間違ないから大前研一氏の言ってることは真逆である。

IMFではこんなことが書かれている。

財政調整:過ぎたるは及ばざるがごとし?
2012年1月29日

カルロ・コッタレリ
結論
多くの先進国の政府債務が依然として著しく高い水準にあり、中期的に債務を削減する財政調整が不可欠です。大半の先進国が、今年、財政赤字の削減に取り組む予定です。しかし、成長が予想以上に鈍い場合、成長をさらに損ねることになっても、一層の引き締めを行い短期計画を堅持しようとする国もあるかもしれません。そうした国に対する私の結論はこうです。『必要がないなら、実施すべきではない』

IMFの分析は大前研一氏とは全く逆な事を述べている。

緊縮財政と市場の動き

ただし、少なくとも今般の危機においては、市場の動きはこれ以上に複雑です。確かに、市場は巨額の債務や財政赤字を嫌いますが、低成長も好みません。

以下はスタンダード・アンド・プアーズの引用です。『雇用の確保や可処分所得に関する消費者の懸念の高まりに呼応し、内需が落ち込み税収が損なわれるなか、緊縮財政のみを柱とした改革プロセスは、自滅する危険性がある』」

「IMF の分析の一部が、これを明確に示しています。
債務比率と財政赤字の縮小とともに一段と急速な短期的経済成長も、国債の金利の低下につながります。

従って、加盟国が財政の引き締めを行い経済が減速すれば、財政のファンダメンタルズの改善から得られるプラスの結果の一部が、成長の鈍化により損なわれるのです。
経済成長とソブリン債スプレッドとの非線形関係の証拠も見て取ることができます。
成長が既に減速し、財政の引き締めが強化されると、スプレッドがさらに上昇する傾向があります(図を参照)。
財政引き締めの結果、成長が十分に低下すると、財政赤字は縮小するなか、金利は実は上昇する可能性があるのです。

-------------------★★

 近年のIMFの経済路線は従来型の緊縮財政、増税によってアイルランドなどが破綻にひんしたことを受けて今や路線変更をしている。

要するに大前研一氏は、企業や家計の経済と国の経済を混同している。
従って、GDPと税収とは相関関係も意図的に分かっていないのではないかという疑惑がある。

財政再建の達成とは「政府の負債対GDP比率の改善」という定義になっている。
従って、名目GDP即ち景気が良くなれば負債が大きくても財政再建されたと言うことである。

その他 2012/2/3
▼今こそ、資産課税が必要だ」というところまで来ると、大前研一氏と言うのが実は共産主義思想に染まっていることが良く分かる。

余りに馬鹿馬鹿しいので全文を再録して見る

「内閣府が25日発表した2010年度の国民経済計算によると、10年末の土地などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は前年比1.2%減の3036兆2000億円となりました。
この3000兆円という数字は、ぜひ記憶しておいて欲しいと思います。国の資産には、「金融資産」「土地などの非生産の有形資産」「在庫や工場などの生産資産」という3つがあり、正味3000兆円になります。

私がずっと主張してきている「資産課税」は、この3000兆円部分に課税するという考え方です。

正確に言えば、工場が生産に利用している在庫などは対象外とするので、3000兆円弱が課税対象となります。
家計資産だけを見ても1000兆円を超える金融資産があり、さらに土地もあります。

こうした部分に、わずか1%の課税をするだけで3000兆円を課税対象とすれば、30兆円の収入になる試算です。少々資産が目減りしたとはいっても、未だに3000兆円の潤沢な資産があるのですからこれを利用しない手はありません。

私は様々な本や記事で、資産課税について説明してきました。
ぜひ、これを実現させて欲しいと思います。

もしこういうことになったら、日本の企業は海外に出で行き中小企業も日本国内ではやって行けないことになる。
即ち可処分所得の減少は、デフレと共に失業者が溢れ、資産課税が払えないから資産は競売差し押さえで国民は貧乏になってゆく。財政再建どころか益々破綻である。
大前氏が住んでいる米国でそんなことをするのかと言えば一笑に付されるというのは当たり前の話。
要するに大前氏には関係が無い。

しかも、収入とは関係なく固定資産税という税が掛かっている土地に新たに税をかけるというのは無理がある。
こういうふうに見てゆくと、大前研一氏というのは日本解体を目差すくせ者でしか無い。
誰もが大前研一氏の考えを聞いて馬鹿にするのはもっともなことある様だ

英語は話せても経済学が分からない経済学者達のつけ


日本の円高が止まらない。
なぜ円高なのかと言えば、日本の国債のほとんどは日本で買われているように預金、貯金が膨大にある国。本当の意味でリスクの少ないお金持ちの国であるわけである。
ドル安ユーロ安、そもそも米国もEUも赤字を抱えてその埋め合わせも出来ないからであるし、この際そのドル安ユーロ安を利用して金を呼び込もうとしている。
ここで経済界は、日銀に何とかしろと言っているようだが現在の政策金利0.1%をゼロ金利政策に移行しても景気が良くならないし、この円高が止まるわけではない。
それは、既に何度も実験済みであろう。
そして、日銀が為替に介入したとしても、米国もEUも協調介入するわけではないし逆にこれ幸いと大損させられると言うのが関の山である。
しかも、ゼロ金利政策に移ればデフレが余計深刻化する。
なぜなら、金利が安くなれば銀行としては貸し出しリスクが益す。日本だけか超低金利の頃は、円キャリートレードが盛んで米国のファンドに投資すれば事足りた。
ところが、世界中が超低金利時代になれは、日本の低金利は何の役にも立たない。
銀行は国債を買って市場には金が出回らない。


なぜこんな事になったのかと言うのは、英語は話せても経済学が分からない経済学者が沢山いたと言うことである。
読売新聞では「企業の国際化 英語が社内公用語となる時代(8月25日付・読売社説)」と楽天やファーストリテイリングを持ち上げている。
そして、「グローバル化が進む中で、日本企業が必要に応じて英語を社内の共通言語とするのは、時代の要請と受け止めるべきだ。」というのも所詮ワンマン企業だ。
よくよく見てみれば、楽天がやっているのはモールと言うより、主要事業は「金融」であることが分かる。
ファーストリテイリングも所詮小売業。資本さえあれば中国でもマネが出来るものであるし、利益が出るのは消費国のみ。
読売社説では「ある意味で極端とも言える『英語公用語化』は、社員の意識改革を徹底させる“ショック療法”と見ることも出来る。」と書くが、結局そんな無駄なものに時間が取られて結果がどうなるのかは今後注目ではある。


ここで又バブル時代を持ち出すが、この時代というのが経済学者が単なる米国経済をそのままに請け売りする実体経済が判らない鸚鵡経済学者かどうかである。
バブル直後の経済状況分析では、デフレの兆候が出てデフレスパイラルの入り口にあったと言うことは、失われた10年なり、20年と言う言葉が使われるとおり明確である。
ところが、その当時の経済企画庁の官僚という政府エコノミストそして、いわゆる御用学者、その他諸々の経済学者は何を言っていたかと言えば「景気循環論」であった。
1989年8月、女性初の民間人閣僚として第1次海部内閣で(当時)経済企画庁長官に就任した高原須美子氏。(1989年8月10日 - 1990年2月28日)(総量規制1990年3月)
退任して直ぐ、バブルが弾けた後この高原氏を招いた経済講演会があった。
この講演会で述べられたのがなんとバブル期の好景気の話し。
「仕事はいらないから、もっと休みをくれという労働組合」の話は憤懣ものだった。
それで不動産業者が不動産市場を建て直すにはと質問したところ、(一瞬にして顔色が変わったように)けんもほろろに不動産市場などどうでも良い、不動産と景気は関係ないと言い切った。
牧野昇氏という、著名なテクノ・エコノミストだかシンクタンクの創設者とか言われている人物がいる。当時は三菱総合研究所副社長だったか、会長だった。
この牧野昇氏は、1990年3月の総量規制直後バブル崩壊後の日本経済を甘く見ていて、そのうち景気が良くなりますとやはりこの景気循環論者であった。
その牧野氏も住専処理の問題が出で来る前の1992年初頭頃になると「景気循環論」ではないらしいとやっと言い出すのである。


その後、バブル経済の後遺症は続くのだが、やはり「住専処理」によって二段底になった。この「住専処理(1995~6年~)」の経済に対する評価というのは実際はなされていないのではないか。少なくともその後に及ぼした土地暴落結果というのは、この住専処理とその処理のために作られた整理回収機構の土地の投げ売りによるものが大きい。
いずれにせよ、バフル崩壊後の日本経済の運営の仕方は従来からの実際の日本の経済の仕組みとは違って米国型の経済によって立て直そうとした。
分かりやすく言えば、日本にもIMFの隠れエージェントと言うべき鸚鵡経済学者が日本経済を潰したと言える。
景気が良くなる大原則は、国民の資産が増えること。これは間違いない事であろう。
バフル崩壊後は、国民の資産の大部分を形成する不動産の価値をなくし、残った預金、貯金は超低金利政策で元本に手をつけないとならない様になった。
その上、株投資をしていた人達はその資産をバブル期の何分の一かにまで減少すれば、国民は貧乏になったと思わざる終えない。
専修大学名誉教授(経済学)正村公宏先生は、バブルの原因を「1980年代後半、貿易黒字拡大と円高不況に対処する超低金利がバブルを誘発し、‥‥」と理由づけしている。
これはこの国民の資産を経済指標に入れないという考えのために、間違いの元になっている。
「超低金利がバブルを誘発」と言うことなどあり得ない事は、現在全く同じ状況下で「バブル」が生じない事で明らかである。
バブル時代の直前には年9%という高金利の時代があり、国民の懐が豊かだった。
そして実際は、政策金利が下がってもそんな金利が適応されない業種もあると言うことである。
事実ゼロ金利政策が実施された頃でも、10.25%の金利が適応されていた中小企業などざらだったのである。
現実の経済と紙の上に書かれた経済とでは、全く違うと言うのは末端の国民はわかっている事である。
日本の国の指導的地位のある人達は、例えば「自分は米国帰り」という様なエリート意識をひけらかせるが、所詮戦前の陸軍 の「天保銭」と呼ばれた陸大組の参謀と大差ないという事が明らかである。
それは、デフレ経済から20年も抜け出せない今の日本経済で証明されたようなものなのである。



低金利政策からの脱却が唯一の道


2010/08/21の読売新聞朝刊を見たら「閣僚、相次ぐ日銀批判・高まる追加緩和圧力」(第8面)と言う見出しが経済覧のあった。
一方第9面は、「『日本型デフレ』米欧懸念・決め手欠く中央銀」である。


ここで新聞にも書かれているとおり、日銀はほとんどゼロ金利政策になっているから緩和措置は限られている。
読売新聞でも「市場関係者が挙げるのは、
〈1〉年0・1%の固定金利で貸出期間3か月の資金を供給する「新型オペ」の拡充
〈2〉政策金利を現在の年0・1%から引き下げて「ゼロ金利」に戻す
〈3〉長期国債の買い入れ額を増やし、長期金利を抑えながら財政を支援する――といった手法だ。
既に長期金利は年1%を下回る水準に下落しており、『金利低下の余地は乏しい』(ストラテジスト)。追加緩和で金利が下がり、円高に歯止めがかかる保証はない。」
と述べている。
その手詰まり感のある経済議論では、景気回復なのか消費税増税の別議論なのか妙な話がある。
それは、国民の貯蓄が悪い、貯蓄、預金を崩させて市場に流せ、そのためには「貯蓄税だ、逆金利だ」と典型的な米国式経済しか頭にないエコノミストの論である。
この議論とは何かと考えていたら、あのバブルの頃の「不動産所有が悪い、無価値にしろ」という議論と根本的には同じだった。
国民の80%が持っている不動産の価値が下がれば、国民の資産が目減りしてデフレになり景気が悪くなるというのは当たり前のことである。
ここで違うのは、米国では資産を債権で持ち、日本では不動産と預金で持つという違いである。
不動産の方は、充分下がって価値がないものになったから、残る国民の資産とは預金、即ち現金である。
ここで現金を吐き出させて、国家がその現金を取りあげる。
これは映画で見る悪代官の様な仕業で、「逆金利」を主張する証券会社にとっては逆に都合がよい。
但し、「逆金利」というのは、世界中存在しないからもし実施したすれば、日本から外国の国債に金が外に出て行くと言う事になる。
そんなことになれば、銀行から預金は引き出され、短期的には有り余った日銀から金を借り出すものの最終的に日本の国債を売却することになる。
なんのことはない、「逆金利」にすることによって日本の国債は暴落して、それこそEUのどこかの国の二の舞になる。
実際、こんな事を散々垂れ流していたのがTV朝日の朝の番組であったことは以前述べた。
NHKが株式投資を推奨したり、不動産投資を推奨したりする番組を放映したら、それは逆の方向へ行くと言うのは、通り相場である。
こういう人達が真剣に言う場合は、その政策は間違いであるというのは間違いないだろう。
その昔、バブル経済の直前、不動産不況の頃。
NHKは特集で、住宅やマンションを買うのと、賃貸で一生暮らすのとではどちらが得がと言うことをやっていた。
結論は、初めからわかっている事で「賃貸が得」である。
それで直ぐ一年後にバブルが来て、その安いときに不動産を買って売り飛ばせば2倍で売れたのは誰もが知るところ。賃貸だったら、賃貸料が高騰してNHKの目算通りとは行かなかった。


それは兎も角も、「『日本型デフレ』米欧懸念・決め手欠く中央銀」というのはお笑いであった。米欧の経済学者というのは所詮大した人達ではないことが分かってしまった一瞬だった。
それは、低金利政策、ゼロ金利政策という従来の経済学の教科書が想定していない事態になったとき、未だに従来型の教科書しか頭に思い浮かばないと言うことである。
しかも、その実験を日本は延々と10年上続けて、まだそのメカニズムさえつかめていない。
米国型、別の言い方をすればIMF型の経済政策というのは、ゼロ金利政策では機能しないことが明らかなのに、その米国経済学者が分からない。
それだから日本の経済学者に解るはずがない。
そして充分解っている筈のゼロ金利政策の弊害。
それに対して何とか触れないで本質の外堀を掘るだか埋めるだかしているのが、例の「飛行機から金をバラ撒く」という米国のエコノミストの理論。
そうでなければ日銀券ではなく「政府紙幣」を大量に発行して、インフレにせよという無謀な理論。
この理論を体現したのが、公明党にそそのかされてバラ撒いた「定額給付金」。そして、民主党の子ども手当て、高校無料化その他のバラ撒きである。
結局、「定額給付金」も「子ども手当」もほとんど貯蓄に廻って、経済効果はあまりなかったという結論は、元々解っていたことであった。
しかし、ここで再確認したと言うものである。


そして、経済政策としてほとんど効果がない、ゼロ金利政策や低金利政策をなぜ止めないのか不思議でならない。
考えてみれば分かる事で、ほぼゼロ金利の低金利であるなら銀行はリスクのある貸し出しをせず国債を買っていれば充分儲かると言うことである。
日本だけが低金利政策を実施していた頃は、円キャリートレードという日本の銀行から金を借りさえすれば儲かったという悪弊。
しかもそれがあのリーマンショックの遠因と言われているからとんでもないものであった。
これがもし高金利に移行すれば、国債を買っていては赤字になるから何とかして貸し出しを勧める。しかも、高金利なら多少のリスク回避も出来ると言うものなのである。
結局、金利、利子という循環材がなければ金は動かないと言うのが真実ではないだろうか。



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