菅改造内閣の32%支持率の真実と老人支配の弊害
菅改造内閣が発足して、そろそろ1週間が過ぎようとしている。
だから、取り立てて何の動きがあるわけでもない。
強いて言えば、与謝野馨経済財政担当相が「民主党・無所属クラブ」に入ったために、自民党の比例区で当選した整合性や種々の問題で話題になっている。
その菅改造内閣の発足当初の世論調査では、内閣支持率32%と共同通信の世論調査結果が出でいる。前回調査(共同)より8.6%上昇した。
この理由というのは、実は良く分からないところである。
そこで18日の地方紙(上毛新聞)の投書欄の期待値は、どういうものか考えてみた。
この菅改造内閣に対する「期待値」の意見は2つ。
1、「政治生命賭す覚悟で」(84歳男性)と2、「与謝野大臣に救世主を期待」(42歳男性)と言うものだった。
要旨は以下のようなもので、国民の多くがこんなことを本気で考えていたのなら戦後60年の民主主義教育というものが大きく間違っていたと思わせるものであった。
その1は、「国民が注視する中で反対を恐れず、国のためこの方針でゆくとの理念を国民に理解させて、政治生命を賭す覚悟が出れば、国民もきっと政治を見直すと信じたい。」
その2は、「今の日本経済の立て直しを進める上で、まさに彼が適任なのかしれません。」
その1に示した意見というものは、いわゆる東大卒などの「エリート」信奉の最たるもので、歴史を見ればそう言うエリートに任せた結果が先の大戦やバブル崩壊とデフレを招いた結果である。。
その2の意見というのは、財務省宣伝に乗せられた「洗脳された」国民の意見である。
なぜなら、歴史上において増税による経済回復をした事例がない。
即ち「日本経済の立て直し=増税」という歴史上あり得ない経済政策に対する無知でしかない。だから増税によって経済発展が成し遂げられたのなら、その政策理論はノーベル経済学賞ものということになる。
この様に分析して見ると、国民の期待値というのは「エリートに任せれば何とかなる」又は、財務省宣伝に乗せられた「増税=経済発展、財政回復」というあり得ない構図と言う事になる。
それで実際消費税が増税されたらどうなるのか、何も言及していないのはこういう投稿欄どころか、増税論者でさえ同じである。
直ぐに考えつくのは、11月、12月、そして1月と大幅に減らされた液晶テレビのエコポイント騒動である。
11月で大幅減額になる時には、家電量販店では買うのに長蛇の列という報道が連日なされた。ところが今はどうだろう、液晶テレビのコーナーは閑古鳥である。
もう誰も買わなくなった液晶テレビである。
それと同じことが、消費税増税と共に繰り返される。
そして、デフレで収入が減る中で、買う商品の値段が上がるという最悪の経済状況が産出される。
投稿者が言う経済の立て直しをする前に、勤めていた会社が不況、デフレ倒産したりしたら増税賛成など言っておれなくなる。
そうでなくとも、今や50歳でリストラは当たり前だったのものが40歳でリストラ、解雇と言う事になりかねない。
それでも暢気でいられるのは、倒産もリストラもない公務員でしかない。
自民党時代に道路特定財源の廃止に絡んで、消費税の増税と共に税体系を改革して廃止すると言っていた。ところが、ガソリン税に消費税が掛かる二重課税は全く改められぬままであることは、この後5%の増税は単純増税であることが見え透いている。
それどころか、その後5%。
通算10%の増税で消費税15%にしないと、今のままではやって行けないと言うことぐらい想像がつく。
それで、与謝野氏は「3つのことを同時並行でやるべきだ。1つは行政改革。2つ目は経済成長を目指す。3つ目は財政再建のための税のあり方を探るということ。」という。
それなら民主党よ「先ず隗より始めよ」と言うところだか、とっくの昔にそんなことは頓挫している。
それにしても、我々国民は定年をとっくに過ぎた70歳過ぎの老人に家計を任せないのに、どうして政治の世界では70、80歳の老人が出で来るのか不思議なものである。
世界の潮流は、ベビーブーマー世代でも政治の世界では「老人」と今や忌避されることがある。
もう宜い加減に、退陣しても良いではないか。
過去の成功体験はあくまで過去のものであり、高度成長期の感覚で日本経済を見る。
そして、デフレ経済をどの様に解釈するのか曖昧なままで経済運営をするべきでない。
日本経済の最大の危機は、こういう成功体験に寄りかかる老人達の活躍にある。