国際柔道連盟(International Judo Federation)は公式ホームページ(http://www.ijf.org/)で暴力行為を非難する声明を表明した。

産経新聞やNHKのWebページの約では、原文とは多少違うが、
「われわれのスポーツの礎を築いた嘉納治五郎師範が説いた精神と理念では決してない」
(産経)続いて
「暴力行為は柔道の精神と関係はない。柔道は肉体と精神の能力を向上させるものであり、これに反する行為は禁止されている。国際柔道連盟は必要な措置を取る」(NHK)

原文***
「The IJF Condemns Hard Training Methods 31th January 2013.
In direct connection with the complaint of a group of athletes from the national Japanese women's team, reporting the acts from their coach, the IJF strongly emphasizes its total disapproval of such behaviors.
"It has nothing to do with the spirit and philosophy of judo taught by the founding master of our sport, Master Jigoro Kano," said the President of the International Judo Federation, Mr. Marius Vizer.
 
The IJF is particularly focussed on the development and promotion of the moral code of judo. Judo is a method to develop the physical and mental capacities, whose primary concern is to maintain the health and integrity (physical and mental) of the participants. Any action that goes against these principles are banned. The IJF will therefore take all necessary measures.」


「2020年夏季五輪の東京開催を目指す招致委員会は30日、都民を対象にした世論調査で、五輪招致の支持率が73%となったと発表した。(読売新聞)」
「最大の課題とされるIOCの支持率調査は1~2月に実施されるとみられる。JOCの橋本聖子理事は「スポーツ界で早急に対応し、五輪招致にマイナスにならないようにしないといけない」と指摘した。3月上旬にはIOC評価委員会の現地調査も行われる。IOC名誉委員の猪谷千春氏は「幸いなことに開催都市決定まで、まだ8カ月残っている」との見方を示し、招致委の水野正人専務理事は「右往左往せず、やるべきことをやるだけだ」と強調した。(スポニチ)」
************

今日のスポーツ報知を見ると、第一面トップが「園田監督だけ辞任!全柔連トップ責任逃れ」という記事だった。これには「全柔連・上村会長、JOC強化本部長は辞任も釈明せず」という記事が続く。
ここで問題視しているのは、「ロンドン五輪当時の強化委員長だった吉村和郎強化担当理事も『暴力? そんなに気付かなかったな』のひと言。任命責任も監督責任もある立場でありながら、暴力に対する感覚がマヒしていると思われても仕方がない。」という部分。
これで幕引きだと本人たちは思っているのだろうか。
「国際オリンピック委員会(IOC)では暴力の禁止を憲章にかかげている。」それだけでなく、欧米の感覚というのは組織内の直接暴力というのは厳罰を持って処すということになっている。

日本のスポーツの世界では、どうも見ていると(元々強かったところが)「弱くなったところ」ほど暴力(体罰)に奔るようである。
しかし、体罰によって選手が強くなる訳ではないのは種々言われているとおりだと思う。ある程度のレベルになると、選手がどのようにしたら解決するのかと言うことを考える必要がある。それが体罰によって萎縮して、考えて実行したことがうまく行かないと又体罰を受けるわけだから物事を考えなくなる。
それでは強くならないわけである。
***************

その昔映画「ワン・オン・ワン」1977という大学のバスケットボール選手の映画があった。この映画は好きでVHSビデオも買ったはず。

この映画には米国のスポーツ界では違った方法や対処なとがあり、スポーツ推薦の大学の裏を教えてくれるものであった。
**
高校バスケットボールの花形選手ヘンリーは、希望するスポーツカー(当時の日産フェアレディZ)とスポーツ奨学金を貰ってウェスタン大学に入学する。
しかし、ラフプレイ連発の大学のバスケットボールの指導方法とうまく相性が合わず、退部(退学)を要求されるがクラブの練習には参加せず独自に練習をするという物語。

ここで日本なら間違いなく体罰で負傷して追い出されるところだが、米国だからそういうことはない。米国ではたとえ有力な運動選手でも落第点を取ると容赦なく試合に出られなくなったり、退学処分になる。
それで、アメリカン・フットボールの映画『しあわせの隠れ場所』(The Blind Side)では、大学に進んだあと家庭教師をつけて落第させないようにするシーンがある。
それと同じで「ワン・オン・ワン」の場合、優秀な大学院生を家庭教師にして、その後追い出すために家庭教師を解雇するという場面もある。

映画では、主人公ヘンリーが自分流に考え作成したプログラムで実力を付け、選手権決勝でラフプレイで退場した選手に代わって逆転優勝するというおとぎ話。
しかも、追い出しが一転して残留の誘いをウェスタン大学がするようになったとき、それを蹴って他大学のバスケットボールチームのスカウトにのるところで終わる。


これは一種のコメディだが、コメディで終わらないのが日本の柔道界であろう。
どう見ても米国の大学のようにスポーツ選手でも猛勉強するという感じてはない昔の明治大学の柔道部OB。
今叫ばれている「危機管理能力の欠如」と「隠蔽体質」

これは既に全日本柔道連盟やJOCの話ではなく、既に「2020年の東京五輪・パラリンピック招致」という国民の関心事と日本の名誉に関わる問題になってしまったということである。

これが放置されれば、日本がなかったという「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」という案件もやはり真実だと思われてしまうことにもなりかねない「重大事」なのではないか。