今年の予兆を聞く時期が来た。平成25年がどういう年になるのか、例年「1月20日前後から月末までに」何かの予兆がある。
今年はどんな年になるのかというのが、今年はなかなかその予兆が感じられなかった。しかし、先日「あっと思った」通りに予兆が来た。
このブログを読んでいる人にもこの「今年の予兆」・・・今年はどんな年になるのかという予兆が感じられているのではないかと思われる。
その予兆というものは「良く耳を澄まして聞かないとわからないもの」から「すぐに判る物理的なもの」までいろいろとある。
単純には、今までと何か違ったことが起きなかったかということをよく考えてみることである。そしてその予兆というのは大方それほど悪くないもので「悪いものは突然来る」ということになっている。

それで小生・柊雲のところにはどんなことが来たのかというと、突然見知らぬ人から書籍が送られてきた。
これはブログで今年から実名を使うことにしたことに由来している。
「書道家の日々つれづれ」というブログは、書道家の経歴を多少明示していることから、毎日書道展、書道芸術院展・・・・に関わる書道関係の先生からはSyuunのハンドルネームでも容易に実名が判断できたのでそうしておいた。
しかし、それでも判らないという人もいてGoogle検索をして実名を探し出すという作業をしたり、他の人から聞いたりするという手間がかかっていた。

それでYouTubeが実名投稿になったことから、どうせ判っていることだからと実名でブログ投稿することにした。
これは当ブログに関する記述には責任を持つと言うことと、ブログで書かれたことは「ネット上」で終了させるという意図を持っている。
なんと言ってもメール送信一つ出来ない人からの「場外乱闘」は避けたいというのは誰でもそう思うであろう。

さて、今回送られてきた書籍は、多分自主出版されたと思われる「墨のにじみ」に関する書籍「書道用紙とにじみ」(為近摩巨登・著)であった。
事の発端は、なんと2007年に書かれたブログの内容「墨185号・墨のにじみはなぜ起きるか・の誤謬2007/3/1」で小生自身そんなブログ記事を書いたのかは全く忘れてしまっていたものである。
http://pub.ne.jp/Indianinkworld/?entry_id=570945

それでその後に上述の著書を送りつけてきて、この本に集大成したので「・・・・にじみの原理は既知のことのように書いておられましたが、その根拠をお示しいただく・・・」という挑戦状を付してきた。

これも「実名投稿」ということから来たオマケと考えて良いかもしれない。

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こういうふうに書かれているとどうも2007年のブログエントリー記事が理解できていないのではないかと思われる。
本来「書」に関する墨と紙の関係などは、師匠から弟子に何とはなしに伝えられる。
著書は「書道用紙とにじみ」である。
このにじみの正体は「墨」の墨液で、墨液とは硯ですった墨。
それも平成墨といわれる宿墨にしておいても腐らないような合成膠を使った墨ではなく、古来からの膠を使った墨を摺り下ろした墨液である。
この墨を摺り下ろすというのにも実は技術がいって、「墨を良く摺る」ということはどういうことかは師匠から教わるのが当然である。
要するに作品を書くときに、その場で墨を摺ってすぐに書くというのは事実上あり得ないというのが書をよくする人のならいである。

それではこの「書道用紙とにじみ」という著書では使う墨はどんなものを使っているのか、たとえば何年ものの「古墨」なのかといえばなんと墨滴(墨汁)である。
その墨汁とは墨運堂の「玄宗」という安物の墨液で、膠の代わりに合成接着剤を入れているもの。
この「玄宗」という墨汁は、30年も前に少し使ったことがあった。このときに「酢」の臭いがして酢酸ビニルを使っているのではないかと思われた代物であった。
この安物の墨液は、乾くと水分を失って接着剤が収縮するために文字が縮れるという欠点があってとても同一の墨とは相容れないものであった。
それでこの本の冒頭で「墨の成分を一定のものにするために墨液を使う」と説明書きがある後で、玄宗の墨液を膠を使っているとして表を作った説明をしている。
墨液の『玄宗』は膠を使っていないが、『墨粒子の内訳』は、膠を使ったものと仮定して・・・」となっている。(墨液は多種の「墨汁」を使っている。)

ここで話は見えてきたというように、この著書は墨を擦った墨液ではなく、煤を混ぜた合成物質(プラスチック素材)を単に水で薄めた実験なのである。
その上悪いことに、中国画仙紙を含めてすべて製造年代も判らない単宣である。
この著者は、「滲みを効かせて効果を狙う」書道家が使う紙や墨の種類というものを知らないということがよくわかる。

考えてみれば、書道展で滲みを効かせた作品説明で「この書の墨は2回なぞったのか(2回で書いたのか)」と聞かれることがあった。
要するにその類いから出発している発想に違いないと思ったものでもある。

種明かしを少しすれば、滲みを効かせた効果を狙うときは、普通の文法具屋で売っていないような、そしてあまり使わないような厚い本画仙紙を使う。
小生などはこの紙を購入してから、紙が作られた季節と年代によって20-30年寝かせる(状態良く風邪!!!を引かせない(書の隠語)ように保存する。)。
紙は寒漉(かんすき)ということがどういう意図なのかわかると理解が進むものでもある。

あまり詳しく「ノウハウ」を公開の場で公表してしまうのもどうかと思うので、この辺にしようと思う。

本当のことを言うと、書の滲みや墨、紙に関することは書団(書道の社中)のノウハウ(企業秘密)であって、その秘密は書団を守るために外に出さないというのがある意味常識になっている。

それでこの著者が「墨の滲みに関する著書」がないと思ったというのは容易に判断できる。
そして、本来「にじみの原理は既知のことのように書いておられましたが、その根拠をお示しいただく・・」というのは僭越至極であることは容易に察し出来るのではないか。
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2013年1月27日、小生が会長をしている艸玄会の研究会、連絡会議がありこの著書を群馬県書道展の審査員クラスの先生に提示してみた。
ここで「墨液(玄宗)を使ったにじみの研究」と述べただけで、「苦笑」して本自体受け取らなかったり、開きもしないというのが現実でもある。

奥付に「著者略歴」がある。そのうちの書に関しては・・・
1979年 日本書道教育学会の通信教育を受講後、同学会大阪書学院専攻科卒業。
ということになっている。


要するに師匠名がなく、毎日書道展や官展の公募展にも出品履歴はなく書団にも属していない。
そうであれば、公募展などに出品する書家、書道家がどんな材料を使いどういう意図を持って書いているのかを知るよしもない。
こういうふうに言う以上小生も書歴というものを示すというより、既に示してしまっていて毎日書道展の出品名簿から住所を探し当てたのかもしれない。
それで著書が、化学を連発してるので科学、化学という分野での略歴を示しておこう。
小生柊雲の履歴の中にはこんなものもある。

国立静岡大学大学院・工学研究科合成化学専攻・修士課程(博士課程前期)終了。
静岡大学工学修士。
公益社団法人・日本化学会 正会員。

そんなわけでまんざらコロイド化学などにもド素人と言うわけではない。



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