内閣不信任決議による「言論リトマス紙」で読み解く

先週末の歴史に残る内閣不信任決議案採決後の妙な出来事に関して、今見てみると又新たな「言論リトマス紙」と言うものが見えてきた。
今まで保守派とか正当な言論陣とか宣伝しながら、実は隠れリベラリスト、反日人士と言うのを探し出すというのは中々難しいものであった。その理由は、有名な東大教授など権威のありそうな人達だったり、有名評論家、脚本家、超有名マスコミ関係者など市井の小生など及びもつかない人達の言論であったからである。
そういう人達というのは、選ばれたエリートとして戦前の陸大、海大出の軍人さんよろしく自分たちの意見が正しい、正論であり日本を正しく導く標(しるべ)であると標榜している。
しかし、それが本当なのかというのはバブル経済を崩壊させ、その後のデフレも修復できない。女性は家を出で働け、子どもは保育園に預けさせ、子どもは社会で育てると宣(のたま)うお偉い女史、大学教授。ところがそんなことを言うお偉い先生は、未婚で子育てしていなかったり、子育てはしっかり自分の母親に任せてお受験をさせていたりと、実際は言動が伴わないことなど当たり前である。
こんなことから見ても種々の言論陣の本当の姿を見極め、少なくとも我々庶民としては彼らの「嘘言論」に惑わされないことが必要であろう。
過去のエントリーの「リトマス紙」は、安倍元総理の辞任に対してどのような言論を行ったのかと言うことだった。
次の「リトマス紙」は、先の東日本大震災に「がんばろう日本」「頑張ろう日本」と言わない人達と言うことも述べた。
そして今回のリトマス紙は、「菅総理の退陣を押しとどめようとした人達」。
正確には「震災復興のために首相を代えてはならない」「内閣不信任決議の政争より復興を」という言論、マスコミ報道である。
加えて「大連立」。

この部分は、「森田実の言わねばならぬ【448】」で明らかにされている。
(森田実の時代を斬る
)

こういう観点から見ると、朝日、毎日、読売の言論姿勢というのは非常に問題だとよく分かる。
毎日新聞の社説では
内閣不信任案 混乱させればいいのか(5月31日)
不信任決議案提出 やはり大義は見えない(6月2日)
菅首相退陣の意向 もう混乱は許されない(6月3日)

朝日新聞社説では
内閣不信任案―その前にやる事がある(5月31日)
社会保障改革―首相は使命を果たせ(6月1日)
不信任案提出―無責任にもほどがある(6月2日)
菅首相辞意表明―不毛な政争に区切りを(6月3日)

読売新聞では
菅内閣不信任案 救国連立模索なら理解できる(6月2日付・読売社説)
首相退陣時期 政治不信の根源を早期に断て(6月4日付・読売社説)

こんな具合である。


ここで6月5日の読売新聞記事の「地球を読む」で北岡伸一東大教授がいつも通り妙なことを言っている。正確には、妙なこととと言うより新聞報道は北岡先生の主張通りの報道の線になっているから益々不思議なものである。
この北岡先生は、国連大使などを歴任して自民党政権時代も政府に食い込んだ中々世渡りの上手な人物である。しかし、第一の「リトマス紙」で東大の典型的な戦後民主主義者であることが分かっているし、日韓歴史問題では歴史という事実を無視して単に政治的な迎合に終始するというその馬脚を現している。
この北岡先生の言論を信ずるというのは問題であるというのは言うまでもなく、内閣不信任案に関しても、後継者(ポスト菅)が決まっていないのに内閣不信任案を提出するのは、けしからぬということを「ドイツ基本法」を例に出して批判している。
他国の憲法を持ち出して批判してもどうにもならぬというのは当たり前のことで、実はこの記事の本筋は、「中選挙区制」に戻せと言うのだから書きたくなかった論説というものだろう。

また別の記事で「【佐藤優の地球を斬る】政治家は国民の前で懺悔せよ」


これは事実上「イザ」でしか読めない記事。
ここでこんなことが冒頭に書いてある。

日本国家が危機的状況にある中で、野党は倒閣ではなく、復興計画の対案を出すことによって、与党と健全な交渉を行うべきだ。とにかく菅直人首相を引きずり降ろそうとするという手法は幼稚で無責任だ。

ちなみに自民党は「復興計画の対案」をいくつも出していたようだがほとんど報道されていない。
佐藤優氏というのは、時に卓見を述べることもあるのだが、往々にして妙な言論が多い。以前のエントリーで、「ロシアに魂を捕られた人物」として論評している通り、あまり信用していない。そして、今度の「リトマス紙」で見る限りその見解というものに間違いなかった気がしてならない。